地球資源の生成メカニズム理解の深化に向けて
愛媛大学大学院理工学研究科 白勢 洋平講師、京都大学大学院工学研究科、秋田大学大学院国際資源学研究科らの共同研究グループは、日本を網羅する116鉱山から収集され、京都大学総合博物館と秋田大学鉱業博物館に収蔵された326個の鉱石試料の鉱物組成と元素濃度分析を行い、得られたデータの多変量解析によって、日本の熱水鉱床鉱石の化学的特徴とそれを作る要因を初めて体系的に明らかにしました。

研究成果のポイント
- 日本を網羅する主要鉱山から収集され、京都大学総合博物館と秋田大学鉱業博物館に収蔵された鉱石試料を有効に活用し、その鉱物組成及び主要元素とレアアースを含む微量元素の濃度を詳細に分析した。
- 元素濃度データの因子分析により、相関行列の固有値が大きかった第1から第4までの4つの因子を導出し、各鉱山での各因子得点の平均値を用いてクラスター分析を行った。その結果、クラスターごとに集中する鉱床の形成年代が異なるなど、鉱床の形成年代とクラスターとに関連性が見出された。
- 4つのクラスターの特徴は鉱床タイプとは異なり、化学組成の観点からの新たな鉱床分類が可能になった。化学組成の支配因子は各鉱床形成年代での地殻変動、広域応力場、マグマ活動、海底火山活動であると解釈できた。
- このような博物館所属の第一級の鉱石試料を用いて全国にわたる特徴と法則性を見出した研究成果は初めてである。化学組成の特徴は、新たに発見される熱水鉱床の主要な金属元素の推定に寄与すると期待できる。
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