令和6年11月16日、17日に岡山大学で開催された「2024年日本化学会中国四国支部大会岡山大会」において、大学院理工学研究科博士前期課程1年生(固体物理化学研究室、指導教員 内藤俊雄教授)の池田美沙子さんが「学生優秀発表表彰(ポスター賞)」を受賞しました。
池田さんの発表題目は、「π共役骨格からアルキル側鎖まで拡張した超共役系に基づく三次元金属」で、同研究科の内藤俊雄教授の指導の下、4年生の卒業研究から継続的に取り組んできた成果の発表です。
有機分子や錯体分子を用いて金属のような性質を示す物質を開発する研究は、半世紀ほどの歴史があり、例えば西暦2000年に白川英樹博士がポリアセチレンを使った導電性高分子の研究でノーベル化学賞を受賞するなど、日本が世界をリードしている研究の一大分野です。これまで長い間、π共役系という平面型の分子を積み重ねて電気の通り道を作らない限り、こうした材料は開発できないというのが“常識”でした。ところが今回池田さんが発表したのは、その常識を打ち破る結果でした。つまり、非平面型の分子を用いて、縦、横、高さのどの方向にも電気を流す物質を見出したという成果です。非平面型の分子とは、平面型のπ共役系分子と、その周辺から平面の上下に張り出した10本の鎖のような細長い部分の隅々までが、一続きの電気の通り道になっている分子です。この意外性・新規性と、様々な測定や理論計算から集められた証拠に基づく高水準の考察が評価され、今回の受賞に至りました。
受賞した池田さん