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2024.07.25 研究

“分子のカタチ”化学結合の可視化に成功

~世界最高峰の放射光X線実験と超精密解析の真骨頂~

名古屋大学、愛媛大学、高輝度光科学研究センター、北海道大学の研究グループは、大型放射光施設SPring-8におけるX線回折・散乱実験と第一原理計算によって、これまで誰も見たことがなかった有機分子の価電子分布を観測しました。この結果、化学結合という化学の基本問題を可視化しました。
原子は、原子核とその周りの電子雲で構成されますが、量子力学的には離散的な軌道状態をとります。分子は構成原子の電子軌道間の相互作用によって結合し安定化します。有機合成手法の発展によって多様な機能性分子が数多く開発され、基本となる化学結合も多様性を持つことが近年注目されています。本研究では、よく知られた分子中の化学結合の様子を実験的に直接観測し、さらに量子化学計算との比較によってその詳細を解明しました。この手法は今後、化学結合の本質を理解し、機能性材料の設計や反応メカニズムの解明に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2024年7月17日付 アメリカ化学会の学術誌「Journal of the American Chemical Society」電子版に掲載されました。

研究のポイント

・放射光X線回折実験と価電子密度分布を得られる新しい解析法により、化学結合の電子状態の直接観測に成功
・教科書的な種々の結合により構成される分子軌道の詳細も解明
・分子を構成する化学結合の量子力学的な電子の本来の姿を解明

論文情報

雑誌名 :Journal of the American Chemical Society
タイトル:Unveiling the Nature of Chemical Bonds in Real-Space
     (和訳)実空間における化学結合の本質を明らかにする
著者  :原 武史(名古屋大学)、長谷部 匡敏(北海道大学)、常田 貴夫(北海道大学)、内藤 俊雄(愛媛大学)、
     中村 唯我(高輝度光科学 研究センター)、片山 尚幸(名古屋大学)、武次 徹也(北海道大学)、澤 博(名古屋大学)
DOI    : 10.1021/jacs.4c05673
URL   : https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/jacs.4c05673