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2022.09.06 研究

東アジア最古の虫食い化石、潜葉痕の発見(大学院理工学研究科 今田弓女助教)

 植物の葉化石には、植物が生きていた時に昆虫に食べられた跡が残っている場合があります。こうした化石は、太古の植物がいかに昆虫などと関わっていたかを知る手がかりとして、近年注目されています。

 大学院理工学研究科今田弓女助教らのグループは、美祢市歴史民俗資料館(山口県)に20年間展示されていたシダの葉化石から、“潜葉”(せんよう)の痕跡を発見しました。潜葉とは、昆虫が植物組織の内部にトンネルを掘るように食べ進んで成長する行動です。潜葉痕に残っている昆虫のフンの形状などから、ガ類または甲虫類によるものと推定されました。この化石は、後期三畳紀(約2億3000万年前)のものであり、潜葉痕の化石としては世界最古の記録の一つです。この発見は、植物を食べる昆虫の行動の起源と進化に重要な示唆を与えるものです。

 本研究の成果は、令和4年3月28日にイギリスの国際学術誌Scientific Reports誌に掲載されました。この成果については、読売新聞(6月10日山口県版)と朝日新聞(9月1日山口県版)にて報道されました。

 また本成果発表を記念して、美祢市の化石について解説するイベントが8月13日に山口県美祢市で開催されました。その様子については、NHKニュース(中国地方 8月13日)および読売新聞(8月15日)に掲載されました。

 美祢市歴史民俗資料館では、令和4年7月20日(水)から令和4年10月2日(日)まで、東アジア最古の潜葉痕化石が特別公開されています。

潜葉痕が見つかった桃ノ木層(山口県美祢市)のシダ植物、クラドフレビス・ネベンシス(Cladophlebis nebbensis)の化石。[美祢市歴史・民俗資料館所蔵]

潜葉痕のある部分を拡大した写真。隣り合う5つの小羽片から3つの潜葉痕が見つかった。[美祢市歴史・民俗資料館所蔵]

シシガシラの葉に潜るシダハナバエ類(ハエ目ハナバエ科)の潜葉痕(現生種)。多くの潜葉虫は、葉に卵が産みつけられてから、幼虫が葉を食べて成長し、蛹となるまで、葉組織の内部で過ごす。虫が食べた痕跡(潜葉痕)の部分は、組織の内部が透けて図形や文字のように見える。

論文

Yume Imada, Nozomu Oyama, Kenji Shinoda, Humio Takahashi, Hirokazu Yukawa. 2022. Oldest leaf mine trace fossil from East Asia provides insight into ancient nutritional flow in a plant–herbivore interaction. Scientific Reports, 12: 5254. (doi: 10.1038/s41598-022-09262-1)

リンク

論文 https://www.nature.com/articles/s41598-022-09262-1
朝日新聞デジタル 「虫食い跡の『潜葉痕』、山口・美祢で20年展示の化石中に発見」(2022年9月1日) https://www.asahi.com/articles/ASQ806RGRQ89TZNB00T.html
NHK NEWS WEB 「美祢市で子どもたちが昆虫や植物の化石を観察する教室」 (2022年8月13日) https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/20220813/4060014393.html
美祢市歴史・民俗資料館 化石館
http://www.c-able.ne.jp/~naganobo/mmhfmfm/mfm_index.html