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2018.12.11 研究

大学院理工学研究科の井上幹生教授らの論文が日本魚類学会英文誌 「Ichthyological Research」の2018年度論文賞に選ばれました 【10月6日(土)】

 愛媛大学大学院理工学研究科の井上幹生教授、三宅洋准教授、川西亮太氏(現北海道大学大学院特任助教)、土肥竜太氏および藤井明日香氏(当時愛媛大学大学院生)の論文「Vertical migration in streams: seasonal use of the hyporheic zone by the spinous loach Cobitis shikokuensis」が、日本魚類学会英文誌「Ichthyological Research」の2018年度論文賞に選ばれました。 

 本研究は生態に不明な点が多い日本固有の希少淡水魚ヒナイシドジョウ Cobitis shikokuensisがその生活史の中で河床の地下部(河床間隙水域)を越冬や産卵、生育場所として利用していることを20ヶ月におよぶ地道な調査により明らかにしたものです。
 河川に生息する魚類には、隣接する水域間のつながりに依存するものが多いことはよく知られていました。例えば、サケやウナギ等の回遊魚にとっては川と海とのつながり(縦のつながり)が不可欠であり、また、ナマズ等の氾濫原を産卵場所として利用する魚類にとっては河川と氾濫原とのつながり(横のつながり)が重要とされています。しかし、「3番目のつながり」と呼ばれる鉛直方向のつながり、すなわち、流水部と地下部とのつながりについては、魚類にとってのその重要性を実証した研究はありませんでした。本研究では無脊椎動物の研究で用いられてきたポンプサンプリングを応用し、河床間隙水域から魚を「汲みあげる」というユニークな方法でこの課題に挑みました。
 本論文は、絶滅が危惧される本種を保全する上で重要な知見を提供したことに加え、これまでほとんど注目されてこなかった河床間隙水域の魚類生息場所としての重要性を示したという点で、その河川生態学上の貢献が大きく評価されました。

【一般社団法人日本魚類学会 学会賞】
http://www.fish-isj.jp/about/award.html