理学部長挨拶

理学部長挨拶

2022年4月更新(2011年3月18日登録)


理学部の近況とご挨拶 高橋 亮治 理学部長(2022年4月)

理学部の近況とご挨拶 平野 幹 理学部長(2020年12月)

理学部の近況とご挨拶 平野 幹 理学部長(平成30年12月)

理学部の近況とご挨拶 平野 幹 理学部長(平成28年12月)

理学部の近況とご挨拶 宇野 英満 理学部長(平成26年12月)

理学部の近況とご挨拶 佐藤 成一 理学部長(平成22年12月)

最近の愛媛大学、理学部の動向 野倉 嗣紀 理学部長(平成19年9月)




●理学部の近況とご挨拶

理学部長 高橋 亮治

 理学部同窓会の皆様におかれましてはますますご活躍のこととお慶び申し上げますとともに,日頃からの理学部へのご支援に感謝致します。
 平成27年度より学長を務めていた大橋裕一前学長に代わり、令和3年度より仁科弘重前理事・副学長が学長に就任されました。理学部関係では宇野英満理事・副学長が引き続き理事・副学長として企画・DX・環境を担当し、堀利栄教授がダイバーシティを担当する副学長として本学の執行部にてご活躍されているところです。私は平野幹前理学部長に代わり令和3年度より理学部長を拝命いたしました。微力ではございますが、本理学部の教育・研究の充実と発展のために専心努力する所存ですので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
 理学部は平成31年度(令和元年度)に従来の数学・物理学・化学・生物学・地球科学の5学科体制から理学科の1学科体制に改組を行いました。この1学科による新教育体制では,数学・数理情報,物理学,化学,生物学,地学,の5つの専門分野教育コースに加え,「科学コミュニケーションプログラム」「宇宙・地球・環境 課題挑戦プログラム」といった特別履修プログラムを設置し,理学人としての多様なキャリア形成を目指した人材育成を行っており、令和4年度に改組後の最初の卒業生を社会に送り出すことになります。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の社会情勢を受けて、愛媛大学でも理学部数学・数理情報コースの教員を中心としてデーターサイエンスセンターが設置され前理学部長の平野幹教授がセンター長としてご活躍されています。
 令和2年の1月に中国の武漢で最初の感染が確認された新型コロナウイルスが、変異を繰り返しながら世界中で猛威を振るい、国内でも令和2年3月以降多くの活動が制限される事態が続いています。大学においても令和2年度中は、授業の多くは遠隔での実施となり、研究活動のための大学施設利用も制限され、サークル活動も対面での実施を認めないという、大学の機能が大きく損なわれる中での教育・研究を強いられ、また学生の皆さんにも多大な不便をおかけすることとなり、同窓会の皆様におかれましても不安な気持ちで見守っていただいていたのではないかと思います。令和3年度より、学長が交代し、大学のコロナ対応の方針も医学的知見に基づく合理的な方向性が示され、少しずつではありますが大学の機能が回復してきています。理学部でも、令和3年度は年間を通して学内施設を利用した研究活動の実施を可能とし、遠隔授業の質の向上を図るとともに対面授業の開講割合を順次増やしてきました。また、本年3月24日には3年ぶりとなる全卒業生が参加する形での卒業式を挙行することができました。
 来年度以降も、理学部構成員一丸となってコロナ禍で停滞していた大学機能の向上を今まで以上に進めていく所存です。同窓会の皆様におかれましても、今後とも理学部の発展に変わらぬご支援のほどよろしくお願いいたします。
なお、理学部の最新の教育・研究成果につきましては、ホームページ(http://www.sci.ehime-u.ac.jp/)にて随時公開しておりますので、是非ともご参照ください。(2022年3月)


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●理学部の近況とご挨拶

理学部長 平野 幹

 愛媛大学理学同窓会の皆様におかれましてはますますご清祥のことと拝察し,お慶び申し上げます。前号にて学部長として皆様にご挨拶申し上げてから早2年の月日が経ちました。その間の理学部に関連した様々な出来事について簡単にご報告いたします。
 前回のご挨拶においても触れましたが,理学部の新しい教育体制が平成31年度(令和元年度)からスタートしております。1学科による新教育体制では,数学・数理情報,物理学,化学,生物学,地学,の5つの専門分野教育コースに加え,理学の知識を地域や世界とのコミュニケーションに活かす力を育成する「科学コミュニケーションプログラム」,理学系先端研究センターの研究力を活かした科学教育を実践する「宇宙・地球・環境 課題挑戦プログラム」,といった特別履修プログラムを設置し,理学人としての多様なキャリア形成を目指した人材育成を行っています。現在は,新体制の1・2回生,旧体制の3回生以上が混在する過渡期ですが,構成員一丸となって学生たちの育成に尽力しているところです。
 平成30年は理学部設置50年の節目の年でしたが,その翌年は愛媛大学開学70周年の年でした。令和元年11月11日㈪に記念式典および祝賀会を開催し,同窓会の皆さんをはじめ多数の関係者のご参加により,盛会裏に終えることが出来ました。2年連続での節目に理学部長として携わることができたことを喜ばしく思うと同時に,理学部の更なる発展に向けた責任を感じ身が引き締まる思いです。
 世界中に感染が拡大して終息の気配が見られないコロナ禍の影響は,春の風物詩である卒業式・入学式の中止をはじめ大学においても甚大です。今年度は授業の開始が遅れただけでなく,ほぼ全ての授業がインターネットを介した遠隔授業となり,普段は学生たちで賑わうキャンパスが閑散としています。授業については,各教員がパソコン技術を駆使してなんとか滞らずにすみましたが,仲間と交流できない学生たちは非常に強いストレスを感じています。更には家計の急変などで経済的にも苦しい状況に陥っている学生も見られ,この苦境を何とか乗り越えてもらえるよう全学を上げて様々な支援を実施しているところです。
 先日,理学人材の育成と教育研究活動の環境整備等をご支援いただくことを目的とした「理学支援基金」を創設しました。近々にご案内できるものと思いますが,同窓会の皆様におかれましてもご支援のほどよろしくお願いいたします。
 なお,理学部の最新の教育・研究成果につきましては,ホームページ(http://www.sci.ehime-u.ac.jp)にて随時公開しておりますので,是非ともご参照ください。  末筆ながら,皆様の益々のご健勝とご多幸を心よりお祈りしております。 (2020年12月)


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●理学部の近況とご挨拶

理学部長 平野 幹

 愛媛大学理学同窓会の皆様におかれましてはますますご清祥のことと拝察し、お慶び申し上げます。前号にて学部長として初めて皆様にご挨拶申し上げてから2年の月日が経っておりますが、その間においても理学部では様々な出来事がありました。
 既にご存知のことと思いますが、平成31年度から理学部は理学科1学科に再編されます。今後は、数学・数理情報、物理学、化学、生物学、地学、の5つの専門分野の体系的教育をコースにより実施すると同時に、1学科教育の特徴を生かして科学的俯瞰力を涵養し分野を超えた発想力と理解力を備えた人材の育成を目指しています。また、学生の多様なキャリアパスに対応するため、標準、科学コミュニケーション、宇宙・地球・環境 課題挑戦、の3つの履修プログラムを提供し、コースで修得した専門的内容を卒業後にどのように活かすかというキャリアビジョンの明確化を支援します。とりわけ、科学コミュニケーションプログラムは「理学専門知識の活用力によって地域の産業や教育の振興に積極的に取り組む理系人材の育成」を目指す、従来になかった特徴あるプログラムです。また、課題挑戦プログラムは愛媛大学の強みである「宇宙物理学」「地球物理学」「環境科学」の先端研究教育に焦点を当てた専門性の高い技術・研究職への道を開くプログラムです。上記のほかにも、数学・数理情報(データサイエンス)教育の拡充、早期卒業・留学支援制度の導入、といった改組のポイントがありますが、これらは数理情報的思考力の涵養、国際性の育成、理工系知識・技術の高度化、についての社会からの要請に対応するもので、社会の発展に直結するものと考えています。
 平成30年は理学部設置50年という記念すべき年であり、同窓会との共催により11月11日(日)に記念式典および記念祝賀会を開催すると同時に記念誌を編纂いたしました。理学部にとってのこの節目の年は上に述べた1学科としての新理学部の船出の年でもあり、理学部構成員は一丸となって一層の研鑽を積む所存です。同窓会の皆様におかれましても、今後とも理学部の発展に変わらぬご支援のほどよろしくお願いいたします。
 なお、理学部の最新の教育・研究成果につきましては、ホームページ(http://www.sci.ehime-u.ac.jp/)にて随時公開しておりますので、是非ともご参照ください。
 末筆ながら、皆様の益々のご健勝とご多幸を心よりお祈りしております。(平成30年12月)


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●理学部の近況とご挨拶

理学部長 平野 幹

 愛媛大学理学同窓会の皆様におかれましてはますますご清祥のことと拝察し、お慶び申し上げます。この場をお借りして、最近の理学部を取り巻く状況についてご紹介させていただきたいと思います。
 みなさんもご存じのことと思いますが、平成26年度末をもって退任された柳澤康信前学長に代わり平成27年度より大橋裕一氏(眼科学)が学長に就任され、愛媛大学執行部体制が刷新されました。理学部関係では宇野前理学部長が理事・副学長に就任され、この新執行部の一員としてご活躍されているところです。私は宇野前理学部長に代わり平成27年度より理学部長を拝命いたしました。甚だ微力ではございますが、本理学部の教育・研究の充実と発展のために専心努力する所存ですので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
 さて、国立大学は平成16年度から独立行政法人化され中期目標期間が6年毎に設定されているところですが、「強みを作る」第1期、「強みを育てる」第2期を経て、平成28年度より「強みを伸ばす」第3期に移行しました。第2期の後半より国立大学改革が加速され、各国立大学・学部ごとに明確化された「ミッションの再定義」による高付加価値の創出と同時に、グローバル化やイノベーション創出、大学が選択した方向性(愛媛大学は「地域活性化・特定分野重点視点拠点」)に沿った機能強化が求められています。愛媛大学は「輝く個性で地域を動かし世界とつながる大学」の創造することをVISIONとし教育・研究の多岐にわたる機能強化に努めていることころですが、本理学部においても自然科学の探求に勤しむと同時に地域を支える理学系人材の育成機能の強化を進めているところです。そのような中、昨年度より各種ステークホルダーとの協力体制の構築を重点項目として取り上げ、地域経済団体・愛媛県下高等学校教員らを含む外部有識者、理学部在学生の保護者、そして本理学部の卒業生である理学同窓会の皆様との意見交換を積極的に実施し、人材育成強化の点において大学外部との連携に努めています。とりわけ、理学同窓会との意見交換については東会長はじめ役員の皆様のご高配により、在学生への顕彰やキャリア形成協力などの様々なご支援をいただけるようになりました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 理学部の最新の教育・研究成果につきましては、ホームページ(http://www.sci.ehime-u.ac.jp/)や「教育・研究のあゆみ」にて随時公開しておりますので、是非ともご参照ください。 今後の理学部の発展には、理学部構成員の研鑚はもちろんステークホルダーの方々のご協力が大きな支えになるものと思っています。同窓会の皆様におかれましては今後とも変わらぬご支援のほどよろしくお願いいたします。
 末筆ながら、皆様の益々のご健勝とご多幸を心よりお祈りしております。 (平成28年12月)


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●理学部の近況とご挨拶

理学部長 宇野英満

平成25年4月より理学部長を拝命している宇野です。最近の理学部に関連する動きについて紹介させていただきます。

 皆様もご存知の通り、平成27年度で第二期中期計画が終了します。文科省は第二期中期計画中を改革加速期間と位置付けており、これに沿って平成25年度には、全国の国立大学に対して「ミッションの再定義」が要求されました。この「ミッションの再定義」は大学ごとではなく、大学の各学部に対してそれぞれ要求されたものです。全国の国立大学に対して大変厳しい要求が突き付けられました。本学でも教育学部では、いわゆるゼロ免の廃止と愛媛県教員に対する卒業生比率の大幅増を約束させられ、法文学部では、定員の見直しを迫られました。愛媛大学ではこれに対応し、文理協働で地域の問題を研究する新学部「社会共創学部(仮)」を平成28年度より発足させ、法文学部も改組縮小して人間社会学部(仮)とする計画を進めています。理学部における「ミッションの再定義」は、これまでの同窓生の皆様方の頑張りのおかげで、地方大学としては大変高い評価をしていただきました。研究面におきましては、理学部の人的資源をつぎ込んで組織した研究センターにおける研究が高く評価され、世界トップレベルを目指す研究成果を上げていると認められました。この成果は、平成26年度の科学研究費獲得状況にも如実に表れています。文科省より10月に今年度の科学研究費の獲得状況が公表されましたが、愛媛大学は旧二期校中では東京医科歯科大学に次いで2番目でした。さらに、今年度の公表では、細目ごとに大学の順位が示され、各大学の分野における強みが分かるようになっています。これによりますと、岩石・鉱物・鉱床学の分野で2位、環境影響評価、環境リスク制御・評価の分野で3位となるなど、理学部が大きな貢献をしています。

 ミッションの再定義をする作業の過程で理学部の今後の課題も浮き上がってきました。現在、理学部は海外の7校(中国精華大学、ベトナム国立大学ハノイ校、ベトナムノン・ラム大学、インドネシアゴロンタロ大学、インドネシアバンドン工科大学、スウェーデンルンド大学、フランスブルゴーニュ大学)と学部間交流協定を締結していますが、交流の実態は非常に貧弱なものでした。教員同士の個人的な繋がりから細々と交流を続けているのが実態で、たくさんの留学生を受け入れたり、送り出したりする関係ではありませんでした。しかし、平成25年度より立ち上がった国際交流委員会の活躍もあり、平成26年度は(独)日本学生支援機構の資金を獲得して、11月にはインドネシアの大学から6名の短期留学生を地球科学科と生物学科に受け入れることができました。理学部の国際化に向けて着実に歩みを進めています。一方、数学、物理、化学の三学科では、欧州の大学との交流を目指しています。11月にはスウェーデンルンド大学理学部長オロフ・スターナー教授をお迎えして、両大学のさらなる交流を目指し、来年度は愛媛大学よりルンド大学に使節を派遣することを約束いたしました。

 最後に、これからの愛媛大学理学部の発展には、理学部構成員のみならず社会の人々のご協力が不可欠です。中でも、理学部同窓会の皆様方のご協力・ご支援をお願いいたしまして私の挨拶を終わらせていただきます。(平成26年12月)

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●理学部の近況とご挨拶

理学部長 佐藤成一

 愛媛大学理学同窓会の皆様にはますますご清祥のことと拝察し、お慶び申し上げます。また、日頃より理学部の発展のためにご厚情とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。平成19年発行の同窓会報第5号で理学部の10余年のあゆみについて紹介されていますので、今回はその後の理学部のあゆみを報告し、挨拶に代えさせていただきます。

(1)第1期中期目標の評価と第2期中期目標期間のスタート
 愛媛大学は、平成19年の秋から第1期中期目標に係る自己評価書の作成準備を進め、平成20年に暫定的に「中期目標の達成状況報告書」としてまとめました。最終的な報告書は、第1期の残り約1年分の成果を補足して、平成21年に国に報告しました。各大学からの報告は「大学評価・学位授与機構」により評価を受け、平成22年にその結果が公表されるとともに運営費交付金に反映されました。愛媛大学の評価順位はほぼ中間でしたが、理学部をもつ同規模の14大学の中では、鹿児島大学に次ぐ2位でした。しかし、この評価システムにより大学の活動が正しく評価されているかについては多くの問題点が指摘されており、信頼されるものになるにはまだまだ時間がかかりそうです。平成22年度から、第2期中期目標期間が始まりました。
 愛媛大学は、下記の3点を重要課題として掲げ、研究、社会貢献など8つの領域に94項目の基本目標を定め、新たな6年に向って歩み始めたところです。

   1.学生の人間的成長に重点を置いた教育の推進
   2.地域の発展に貢献できる国際性を備えた人材の育成
   3.特色ある先端的研究拠点の形成・強化

(2)宇宙進化研究センターの設置
 第1期中期目標期間の間、物理学科では宇宙物理学を柱の一つにしようとスタッフを整備してきました。その結果、X線観測と可視光・赤外線観測により研究を進める2つのグループを組織することができました。そして、平成19年11月には「暗黒物質」の3次元マップの作成をはじめとする優れた研究業績が認められて、理学部の宇宙物理学を核にして「宇宙進化研究センター」が新設されました。専任教員4名と兼任教員3名の計7人体制でスタートし、今日に至っています。これと並行して、教育面でも「物理学コース」とは別に新たに「宇宙物理学コース」を設け、独自のカリキュラムのもとに、宇宙物理学をより専門的・系統的に学べるようにしました。

(3)進む施設・環境整備
 平成21、22年は、大学の施設の新設・改築が相次いで行われました。城北キャンパスでは、共通教育棟の全面改修にともなう「愛大ミューズ」(博物館)及びラウンジ(リフレッシュやミーティング用)・双方向的授業ができる教室の整備、記念講堂の全面改修による250余席を擁する「南加記念ホール」の設置、同窓生等も利用できる「校友会館」の新築、城北キャンパス北門近くの部室建物改修による愛大ブランド品などを揃えた「愛大ショップえみか」の設置、などが相次ぎ、学生の生活・教育環境が格段に整備されました。平成19年以前の卒業生の皆さんはその変貌ぶりにきっと驚かれることと思います。この間に理学部も大きく変貌しました。その概要は以下の通りです。

【理学部本館の全面改修と施設設備の整備】 平成18、19年
 各階にリフレッシュコーナー及び2階に生協売店コーナー(文房具、スナック菓子、弁当、飲み物など)設置、情報機器室(約50台のパソコン設備)・各学科に2スパンの自習室(パソコン設備)の設置、エアコンの設置(夏の実験・実習が快適)、すべての講義室にプロジェクターとスクリーンを設置

【キャンパス整備】 平成22、23年
 インターロッキングブロック及びカラーアスファルト舗装、藤棚・ベンチ設置、自転車置き場整備、理学部北側ブロック塀を低い石垣と植栽に改修。なお、カナリーヤシ(フェニックス)は元の位置にそのまま残しました。

(4)独立研究科の新設
 現在、博士後期課程に「先端科学研究科」を理工学研究科から独立させて新設し、4研究センター(沿岸環境科学、地球深部ダイナミクス、無細胞生命科学工学及び宇宙進化の各研究センター)が主体となって世界的レベルの研究者育成を目指すことになり、その準備が進められています。平成24年度から、学生募集を開始する予定です。これにあわせて、理工学研究科の後期課程の改組計画(専攻と定員の見直し)も進行中です。

(5)これからの理学部の役割
 科学の発展が経済を支えるいわゆる「知識基盤社会」の到来を迎え、理学部が果たすべき役割はますます大きくなってきました。もちろん、理学部の目的は、その学問的特質から世界を視野に入れて教育研究の成果を上げることが中心であることは言うまでもありません。一方、教育のグローバル化により、国際基準に見合った高度な専門的知識と課題解決能力を有する人材を育てることが大学に求められています。社会や企業からは、「社会で上手くやっていくための、あるいは成功するための能力」すなわちコンピテンシーの育成を大学教育に期待しています。そして、地域の経済・文化の発展に寄与するために地域と協働することが今や当たり前のこととして受け入れられています。このように大学に求められる要望は多面的であり、期待も大きくなっています。この要望や期待に大学が応えていくことは時代の要請であり、避けられないことであると考えています。

平成16年の法人化以降、理学部教員の教育研究以外の負担は相当大きくなりましたが、最近5年の記録をみますと、論文数は減少することはなく、教員が獲得する競争的資金は増えています。この原因の一つに理学部教員ひとりひとりの努力があることは間違いありません。もう一つ大きな要因は、課せられた諸課題に教職員が役割分担をするなど組織的に対応していることがあげられるでしょう。大学あるいは理学部をめぐる環境は、今後さらに厳しくなることはあっても、軽減されることはないと思いますが、制度、組織、施設、環境などさらに改善を重ねて、理学部の本分である教育研究を中心に諸課題に対して良い成果を上げるべく努力を重ねてまいります。これからの大学運営や改革には、社会、企業そして卒業生皆様の意見を尊重して取り組んでいくことが大事であると考えていますので、同窓生の皆様には、様々な機会を通じてぜひ忌憚のないご意見を理学部にお寄せ下さるようお願い申し上げます。最期に皆様の益々のご健勝とご多幸をお祈りいたします。(平成22年12月)

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●最近の愛媛大学、理学部の動向

理学部長 野倉嗣紀

 理学部同窓会の皆様におかれましてはますますご活躍のこととお慶び申し上げますとともに,日頃からの理学部へのご支援に感謝致します。

 前回平成8年に理学部同窓会報を発行してからほぼ10年になりますが,この間,平成11年には理学部・文理学部50周年を迎え,平成16年には,平成8年から続いていた数理科学科,物質理学科,生物地球圏科学科の3学科を平成8年以前の数学科,物理学科,化学科,生物学科,地球科学科の5学科に戻し,同時に入試制度,カリキュラム等の大幅な改革を行っています。また,平成16年からは戦後最大の大学改革といわれる国立大学法人化が実施されました。平成18年からは理学部教員と工学部教員が同じ大学院組織,理工学研究科に所属するいわゆる部局化を実施しました。

 国立大学法人化後は大学全体の運営方針のもとに各学部の動向・活動が定まることが多々あり,理学部の最近の様子について述べることは大学全体の動向・活動を述べることにもつながります。理学部に関連した最近の主な出来事を年代順に並べれば,以下のようになり,最近の大学の動きのめまぐるしさが伺われます。

  平成11年沿岸環境科学研究センターの設置
  平成13年地球深部ダイナミクス研究センターの設置
  平成15年無細胞生命化学工学研究センターの設置
  平成15年総合情報メディアセンターの発足
  平成16年理学部の学部改組
  平成16年国立大学法人化
  平成17年スーパーサイエンス特別コースの設置
  平成18年理工学研究科の組織改編(部局化)
  平成19年アジア環境科学コースの設置
  平成19年宇宙進化研究センターの設置(予定)

国立大学の法人化
 国立大学の法人化は,よく誤解されるように国立大学が私立大学に変わったということでは有りません。大学運営に必要な経費は今までと変わらずに国から配分されています。国立大学の法人化を一言で言えば,国あるいは文科省の一出先機関から独立した経営体になったということであります。大学は自らの経営方針を社会に対し公表し,多額の税金を使うにふさわしい活動をしていると国民に説明する責任があります。その一つとして,大学は文科省に認可された6年ごとの中期計画・目標を掲げ,それを実施していくことが法令で定められております。

理学部・理学系研究科の教育改革
 法人化を機に愛媛大学では大学憲章を定め、「学生中心の大学づくり」を基本目標の一つとして掲げています。理学部でも理学部・理学系研究科憲章を制定すると共に,教育理念・教育目標を公表し,その実現に向け,教育改革を専門に担当する教育コーディネータ制度を他学部に先駆けて導入し,入試制度の改革,学部・大学院のカリキュラムの整備を行ってきました。また,各講義の学生によるアンケート調査,教員相互の授業参観など各教員の教育に対する意識の共有,教育技術の改善をはかるための取り組みを行うなど,学生の目線にたった様々な改革を実施しています。

研究センター
 さて,愛媛大学には他の地方大学にはあまりみられない優れた特色が有ります。その最たるものに3つの研究センターであります。これらのセンターは理学部、工学部、農学部の教員が中心となって設立され,世界のトップクラスの研究を展開しています。また,これらのセンターでは研究者養成のためのスーパーサイエンス特別コースが平成17年度から設置されています。

<沿岸環境科学研究センター>
このセンターは国から21世紀の世界をリードする優れた研究プログラムとしてCOE(center of excellent)に四国の大学で唯一選ばれており,また,ポストCOE であるグローバルCOE プログラムにも今回採択されています。主に,・環境ホルモン,化学物質による生体に対する影響・地球環境変動による沿岸域生態系変動機構の解明などをテーマとし世界をリードする研究拠点となっています。

<地球深部ダイナミクス研究センター>
このセンターでは超高圧実験や物性測定実験,また地震波を用いたトモグラフフィCT や第一原理計算などの手法を用い,固体地球深部の物質構成・構造・運動(ダイナミクス)についても先端的研究を行っています。地球深部科学研究に必要な新しい技術や手法の開発を行うと共に,このような技術を生かした学際的研究も目指しています。世界一堅いダイヤモンドを合成して,新聞などでも紹介されましたのでご存じの方もいらっしゃることと思います。

<無細胞生命科学工学研究センター>
生命化学の基礎となるヒトゲノムの解読も終わり,ポストゲノムの時代になっています。このセンターでは,世界に先駆けて生命体の素子であるタンパク質を,生体外で自由自在に,かつ大量に合成することが出来る,独創的なタンパク質合成技術を確立させています。この世界最先端のタンパク質合成技術を用いて,動植物等あらゆる生命体を構成するタンパク質の物性・機能・構造等を網羅的に解析・研究を行うと共に,新素材の応用研究,また,世界に羽ばたく最先端の研究及び研究者の養成を行っています。(平成19年9月)


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