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2022.03.28 研究

理学部3年生の池田颯希さんが「日本生態学会第69回大会」でポスター賞最優秀賞を受賞しました。【3月14日(月)~19日(土)】

 令和4年3月14日(月)〜19日(土)に開催された「日本生態学会第69回大会」において、理学部理学科生物学コース3年生(受賞時)の池田颯希さん(指導教員:大学院理工学研究科 今田弓女助教)が、「ポスター賞最優秀賞(動物と植物の相互関係分野)」を受賞しました。受賞した講演題目は「コケ上で多様化したダニの発見―コケの吸汁に関わる行動および口器形態の種間比較」です。

 植物は多種多様な動物と互いに関わり合いつつ進化し、多様化してきました。こうした相互作用についての知見は、植物と動物の進化への理解を深める上で重要です。
 池田さんの研究グループは、植物と関係するダニの生態とその進化について研究しています。ケダニ目のEustigmaeus属は、コケを食べ、コケ上に産卵するという特異な習性をもつことが報告されています。しかし、先行研究では、本属の生活史の詳細は未知でした。本研究は、本群の種多様性と生態を解明し、その食性に関わる形質の進化にコケとの関係が影響したかを検証することを目指しました。
 日本各地で本属を探索したところ、本属のコケ食性種を複数発見し、これらの多くは日本未記録種であることが分かりました。野外調査と飼育によって、それらの種のダニが野外で食べていたコケ種の特定に成功しました。これらの種の多くには、コケを摂食する際の行動に共通点があることも判明しました。さらに、ダニの口器形態には種間で差があり、その口器形態と食草の葉形態との間に相関があることも示唆されました。本研究では、綿密な野外調査によって「コケを食べるダニの多様性」という新しい系を開拓し、それらの行動生態と形態を詳細な観察に基づいて解明するとともに、コケと微小な動物が特異的な関係を築きつつ進化してきた可能性を示唆した数少ない例といえます。

 日本生態学会大会においては、未知の生物多様性の発見から生態、進化の究明へと展開するという独創性に富んだ重厚な研究成果が非常に高く評価され、多数の発表の中から最優秀賞に選ばれました。