大学院理工学研究科の佐藤久子教授、同博士前期課程1年生瀧本和誉さんらの論文が英国王立化学会の物理化学系雑誌のPhys.Chem.Chem.Phys.の2017 Hot Articlesに選ばれました


 大学院理工学研究科環境機能科学専攻の佐藤久子教授と同博士前期課程1年生の瀧本和誉さんらの論文「Solid State Vibrational Circular Dichroism towards Molecular Recognition: Chiral Metal Complexes Intercalated in a Clay Mineral」が、物理化学系雑誌のPhys.Chem.Chem.Phys.の2017 Hot Articlesに選ばれました。

 固体表面でキラル分子が互いの不斉をどのように認識しているかを明らかにすることは、表面科学や材料化学などの様々な面で鍵となる重要な点です。粘土鉱物表面は、シリケートとアルミネートが2次元網目状に連結した規則構造を持っています。佐藤教授らは、この粘土表面を利用して不斉識別場を構築する試みを行ってきました。特に、かさ高い配位子をもつキラル金属錯体を吸着させると、均一な溶媒中ではみられない特異な分子間相互作用が働くことを明らかにしました。この結果は、実用的には光学分割用粘土カラムとして資生堂で製品化もされています。しかし、粘土鉱物が絶縁性の微結晶であることからプローブ顕微鏡やX線構造解析などの方法が適用できず、表面での不斉識別機構の解明には大きな困難が伴います。そこで、佐藤教授らは、このための新しい手段として、独自に開発してきた振動円二色性分光(VCD)法を適用しました。今回の論文は、この分光法を層状無機化合物に用いた初めての例です。その結果、粘土鉱物表面でキラル有機分子が隣接した金属錯体のキラリティに依存した構造変化を起すことを、VCDスペクトルの解析から明らかにすることに成功しました。粘土複合体のような複雑系システム中で、柔らかな分子が堅い分子の影響を受けて構造変化を起し、それをVCDシグナルとして捕らえることができたという独創的な観点が評価されて、Hot Articleに選ばれました。

Hisako Sato, Kenji Tamura, Kazuyoshi Takimoto, and Akihiko Yamagishi

http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2017/cp/c7cp05114j#!divAbstract

                  
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(C)Ehime University, Faculty of Science, 2017.